風水害から自分や家族を守る!岡山市南区にできた体験型施設に行ってみました

風水害から自分や家族を守る!岡山市南区にできた体験型施設に行ってみました
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体験・学び

強い風や大雨の中避難する困難さを学ぶため、岡山市消防教育訓練センター「水難救助訓練施設」内に風水害体験エリアがオープンしました。模擬体験を通して、住民が風水害を学べる施設は全国的にも珍しく、小学4年生から体験できます。所要時間は座学と体験合わせて約90分。体験無料。参加にはインターネットからの予約が必要です。休日に子どもと行ってきました。

掲載日:2025年06月10日

ライター:観光ライター 頼實

5つの風水害体験と学習コーナー

近年、ゲリラ豪雨や竜巻など自然災害が激甚化しています。「晴れの国おかやま」も例外ではなく、平成30年の西日本豪雨では、岡山市内でも浸水被害が多数発生しました。歴史的にみても、昭和9年に発生した室戸台風による旭川と百間川の氾濫は、大規模な洪水を引き起こしています。
いつどこで起こるか分からない災害から命を守るため、自宅や職場、学校の災害リスク、家族構成に合った避難の仕方をあらかじめ想定しておく必要があります。

参加者は受付を済ませた後、最初に約9分間の防災映像を見ます。
映像では、避難指示のニュースが流れても、「これくらいの雨なら大丈夫だろう」「川から離れている」「周りはまだ誰も逃げてない」といった思い込みから避難せずにいると、みるみるうちに水位が上昇。いざ逃げようとしたら浸水で扉が開かない、道が川のようになって歩けないという事態に。
一人ひとりの状況に合った行動計画(マイタイムライン)と早期避難準備の大切さを学びました。

水深何センチで扉は開かなくなる?

屋外に出て体験スタートです。
浸水時の扉にかかる水圧が体験できる「水圧ドア」を最初に体験しました。
まずは水深30センチ。水圧で重く感じながらも、扉は開きます。小学4年生の子どもたちもなんとかクリアできました。

次は水深50センチです。小学4年生と中学1年生が開けようとしますが、扉はびくともしません。大人の女性が挑戦しても開きません。男性が全身で力いっぱい押して、ようやく少し扉が開く程度。水圧がある状態で扉を開けることの難しさを実感しました。「扉が開かない状態なら、無理に外に出ずに垂直避難を考えてください」と施設の職員さんは話します。

2段階の「流水歩行体験」で避難を想定

続いて、屋外の風水害体験エリアで、水の中に段差がある「流水歩行体験」と1時間あたり100ミリ程度の大雨が体感できる「風雨体験」の2つに挑戦しました。
プールに入るため、胴長靴(施設で貸してもらえます)と持参したレインコートに着替えます。

流水の速さ毎秒1メートルと毎秒2.5メートルの2段階を体験しました。毎秒2.5メートルの速さになると、水の勢いが強く、気を抜くと足を滑らせそうです。途中にある段差にもびっくりします。「体験ではきれいな水ですが、実際の災害時は濁った水です。途中、用水路や道のでこぼこなどもあります。この状況でどうしても避難しなければならない場合は、ストックや傘で水の中を探りながら歩きましょう」と教わりました。

“1時間あたり100ミリ程度”の大雨とは!?

「風雨体験」では、最初は風速毎秒20メートル程度の強風を体験します。強い風ですが、ロープを持たなくてもなんとか歩ける程度の強風です。ただ、自転車や植木鉢、看板など屋外で固定されていないものは、飛ぶ危険性がありそうだと感じました。

続いて、強風に大雨がプラスされます。ここで体験するのは、よくニュースで耳にする「1時間に100ミリ程度の大雨」です。
横殴りの雨の勢いが猛烈で、前を向いて歩くことができません。ロープから手を離すと転倒しそうです。この状態では屋外に出るのは難しく、建物の中に留まる方が良さそうです。

一人ひとりの行動計画を作って備える

冠水した道路で車に閉じ込められたという設定の水圧自動車ドア体験もしました。本物の車を使い、映像や音響効果もあるリアルな演出です。こちらも、水深50センチになると、大人の女性の力でもドアを開けることはできませんでした。もしもに備えて、緊急脱出用ハンマーを必ず用意したいと思いました。
展示ホールには、「知るコト」、「備えるコト」、「守るコト」についてまとめたパネル展示や防災バッグの一例などもあり、防災意識を高めることができそうです。

最後にクイズの後で、一人ひとりに合った行動計画(マイタイムライン)を作っておくことの大切さを教わりました。
風水害体験は1日2回実施します(9:30〜、13:30〜)。各回定員30人です(最少催行人員5人)。毎週水曜日、年末年始が休館日です。
家族で参加すれば、防災意識を高めて、家族間で情報共有する良い機会になりそうです。

岡山市公式観光情報 OKAYAMA KANKO.net