岡山でおいしいお茶を楽しむ

岡山にはおいしい日本茶が飲めるお店があります。
茶師と呼ばれるお茶の専門家のご主人と、お茶に対する愛情がさりげなく伝わる奥様がされている「日本茶専門店葉づき」。本格的な日本茶が気軽にテイクアウトできるお店です。全国から厳選した茶葉も購入でき、おいしい日本茶の楽しみ方を教えてくださいました。
「and green tea」は「健康」をコンセプトに掲げています。日本茶はもちろん、発酵玄米のお茶漬けやおにぎりの提供もおこなっています。素材にもこだわり、身体に優しく体調を整えたい時にも利用したいお店です。若い世代にも広めたいとスイーツの開発や夜カフェの開催など、精力的に魅力的なお茶の情報を発信しています。
SABOE OKAYAMAでは、実際にお茶のコースをいただきました。趣のある茶房で淹れた、おいしいお茶。お茶に合うように考えられたお菓子。合組(ごうくみ)というお茶のブレンドの奥深さを味わいながら、楽しいひとときを過ごしました。
掲載日:2025年07月02日
ライター:観光ライター 梅緒
日本茶専門店「葉づき」
~一杯のお茶で人生が豊かに~
日本茶専門店葉づきは岡山市北区田中にあります。
雑貨・照明・家具のお店「axcis nalf(アクシスナーフ)」さんの看板が目印です。
同じ敷地内にある、白い小さな可愛らしいお店です。
2020年7月にオープンしました。
店主は筒井美穂さん、筒井慶喜さんご夫妻。香川県ご出身の美穂さんは、急須でお茶を飲む習慣のない家で育ったといいます。
美穂さんが「おいしい日本茶」に出会ったのは慶喜さんの長崎のご実家で飲んだ一杯のお茶でした。
慶喜さんの出身地、長崎は茶産地の一つ。長崎県東彼杵(そのぎ)町の「そのぎ茶」は全国茶品評会で高い評価を受けています。
慶喜さんは茶師八段の資格をもち、日本茶インストラクター協会岡山県支部長に就任しています。
茶師は良い茶葉を見極め味をブレンドするなど、高いお茶のスキルを持ちます。
厳選された茶葉と岡山のおいしいお茶
葉づきでは筒井さん厳選のお茶が購入できます。
岡山のお茶、というとイメージがなかなかできないかもしれません。
「岡山」という名のほうじ茶が販売されています。
「岡山にもおいしいお茶があることを知ってほしい」と筒井さん。
またこれから暑い季節に飲みたい冷たい日本茶のおいしい淹れ方を、教えてくださいました。
急須に入れた少し濃いめのお茶を、氷の入った器に注ぎます。
または茶葉10gに対し冷水500mlを容器に入れ、冷蔵庫で2時間以上静置します。
丁寧に淹れた、お茶のうまみと清涼感を味わってください。
丁寧に淹れたお茶をテイクアウトできるのもうれしいところ。
いただいた季節限定の冷たいほうじ茶は芳ばしい香りも味も、うれしくなるおいしさ。次に訪れた時はどんなお茶があるのか楽しみになります。
不定期ですが日本茶にあうスイーツの販売もあります。
Instagramやブログでチェックしてみてください。
「購入したお茶を開けたとき、お茶の香りも楽しんでみて下さい」そんな見過ごしてしまいそうなことも、教えていただきました。
小さな可愛らしいお店には、筒井さんご夫妻のお茶に対するお気持ちが詰まっています。ホッとしたい時、気軽に立ち寄れて本格的な日本茶が飲めるお店です。
and green tea
~健康をテーマにしたお茶とスイーツのお店~
and green teaは表町商店街、天満屋岡山本店のすぐ近くにあります。
お店の壁はお茶屋さんらしい鮮やかな抹茶色です。
オーナーは平山姫里有(ひらやまきりあ)さん。
カジュアルな雰囲気のお店から健康をテーマに、本格的なお茶の魅力を発信しています。
急須で淹れたお茶でくつろいでみませんか
お食事は、発酵玄米を使ったおにぎりやお茶漬けがあります。
発酵玄米は玄米と小豆と塩を3日間保温熟成させ(寝かせ玄米ともいう)1日1回かき混ぜる必要があり大変手間がかかります。
発酵玄米は栄養価が高く、もちもちしておいしい。
発酵玄米おにぎりセットは、好みのおにぎり2個と、お茶は、ほうじ茶・ほうじ番茶から選べます。
おすすめはほうじ番茶。芳ばしく発酵玄米おにぎりの味をさらに引き立てます。
発酵玄米のおにぎりセットや発酵玄米お茶漬けはテイクアウトもできます。
and green teaはお茶や発酵玄米はもちろんラテに使用する牛乳やお砂糖にもこだわっています。
抹茶は京都にある山政小山園、その他のお茶は岡山の美作市にある三代続くお茶農家「下山さんちのお茶」のお茶を使用。島根の木次牛乳は飲みやすくて抹茶の味を邪魔しない。砂糖はきび砂糖を使用。きび砂糖は精製度が低くミネラル分が豊富です。
抹茶ラテを注文してまぜる前の木次牛乳を飲んでみると、自然な甘さでまろやか。パスチャライズという低温殺菌方法で、たんぱく質やカルシウムの変質が少ないそう。時間や手間がかかる殺菌方法です。
昼間来れない方にも来店してもらいたいと月に1度、開催する夜カフェの試みも。灯りを落とした昼間とは違う雰囲気のand green teaでお茶が楽しめます。
身体を整えたいときに摂りたい発酵玄米の食事。健康をテーマにしたお茶、スイーツが味わえるお店and green teaに出かけてみませんか。
SABOE OKAYAMA
~重厚な扉の向こうは癒されるお茶の空間~
2024年11月7日、日本茶専門店「SABOE OKAYAMA」が岡山市北区弓之町に開店しました。
昔のお醬油屋さんを改装した趣のあるお茶屋さんは、日本三大名園の一つに数えられる、岡山後楽園の近くにあります。
暖簾のかかっている方の入り口は売店で、向かって右側の重厚な扉の向こうが茶房です。
緊張しながら茶房の扉を開けると、そこにはカウンター席が。お茶といえば正座のイメージがありますが、海外からのお客様や、ご高齢の方も安心して椅子に腰かけお茶を楽しめます。
海外のお客様も多いSABOE OKAYAMA。売店のスタッフさんによると日本の方はストレートに煎茶や紅茶の風味を好む方が多く、海外の方はストレートのお茶の苦みが得意ではない方が多いそうです。
SABOE OKAYAMAのブレンド茶には、果実やハーブや木の実の組み合わせがたくさんあります。ブレンド茶は海外の方にもお茶の文化を感じてもらいやすいでしょう。
岡山の後楽園前にあるお茶屋さんが、海外と日本のお茶の文化の橋渡しをしています。
作法は特にありません。固くならず心からお茶を楽しむ
すすめていただいた「茶と菓子とあて」約30分をいただきました。
T., Collection(ティーコレクション)10種類あるブレンド茶から好きなお茶を選びます。
どのブレンド茶も気になりましたが、終わりゆく新茶を最後に味わいたく、そしてきれいな緑色のお茶が飲みたくて4番目の「蒸 Jo (玉緑茶・煎茶・白折)」にしました。
お湯を注いで茶葉が少し開いたお茶の香りを聞かせていただきました。このお茶の香りを聞くことを聞茶(もんこう)というそうです。若葉のお茶の清々しい香りを聞くことができました。
選んだティーコレクションのお茶を二煎飲めるのですが、一煎目は冷たいお茶、二煎目は温かいお茶を淹れていただくことにしました。
氷の入ったグラスに注がれた緑茶は、きれいな緑色です。深蒸しの新茶は茶葉が細かく、細かい茶葉は緑が濃く出やすいそうです。
グラスに注がれたお茶を飲むのは人生で初めてです。
「作法はありますか?」とおたずねしたところ、
「SABOE はあえて作法がない形を取らせていたいただいています。本格的な日本茶を飲むとなると、どうしても敷居が高いと思われる方が多いです。海外のお客様も多いですし、あまり固くなり過ぎず楽しんでいただくことを大切にしています」と答えてくださいました。
最初の緊張は解け、いつの間にかお茶を淹れてくださったスタッフの中田さんとお茶の話に花を咲かせていました。
お茶を味わいながら釜の蒸気の音に耳をすませると、不思議と落ち着いてきます。
グラスに注がれた緑茶「蒸jo」は、うまみと甘みを感じました。
冷たい緑茶と季節の菓子「甘夏羹」のさわやかな柑橘の香りと味わいが涼を呼びます。
「あて」は丸い八寸のお皿に盛られています。
「蒸Jo」二煎目の温かいお茶といただきます。
ぷつりとはじけ果汁が滴るほど瑞々しい山形県産のサクランボ。黑豆絞りは、ほんのり甘い豆菓子。棗椰子(なつめやし)に発酵バターをはさみ芳ばしいクルミをのせた、コクのある濃厚な味わいの棗バターはSABOE OKAYAMAで扱っている東京の和菓子屋「HIGASHIYA」でもとても人気のあるお菓子です。それぞれがお茶にあい、しみじみとおいしい。
このあと、SABOE OKAYAMA限定のブレンド茶「青Sei」(青番茶と無花果の葉、シナモンリーフを合わせています)をいただきました。
個人差はあると思いますが、私は梅のようなフルーティーな味わいを感じました。爽やかなブレンド茶でした。
伝統を繋げていきながら進化を続けているお茶の世界。
SABOE OKAYAMAで新しいお茶の時間を、大切な人と過ごしてみませんか。
岡山でおいしいお茶が飲めるお店も増えてきました。
今回ご紹介させていただいたお店は、それぞれにお茶に対する思いを大切にお茶を淹れててくださいました。
お茶をいただく。お茶の味わい、凜とした空間や時間。店主さんのおもてなしのお気持ち、美しい茶器や道具など。伝えていきたい日本の伝統文化です。
おいしいお茶を飲みにいきませんか。