備前国総社宮〜神社で大切に育てられた蜜蜂のはちみつ〜

岡山市中区祇園にある備前国総社宮では、敷地内で蜜蜂を育てています。
4月から6月に採れたはちみつ、「お宮でとれました」は社務所で販売されています。
採れたてを瓶につめた非加熱のはちみつは、でき上がってすぐに神様に奉納されるご利益のあるはちみつです。
今年採れたはちみつ、卯月(4月)はほんのり桜の香り、皐月(5月)は濃厚、水無月(6月)はすっきりとした味わいと、季節ごとの味の変化が感じられます。
備前国総社宮で養蜂を担当されている、長崎さんにお話をお聞きしました。
掲載日:2025年09月08日 最終更新日:2025/09/02
ライター:観光ライター 梅緒
備前国総社宮周辺の環境
備前国総社宮のそば「グリーンシャワーの森」は竜ノ口山の森林公園です。
近くには百間川や、春にはたくさんの桜が咲く「百間川せせらぎ公園」があります。
はちみつは蜜蜂が飼われている環境に大きく影響を受けます。
自然豊かで水源もあり、桜などの蜜源植物がある環境は養蜂に適しています。
豊かな自然のなかで蜂たちもあまりストレスを感じることなく、蜜を集めることができるのではないでしょうか。
神社ならでは
「榊(さかき)」の蜜が入ったはちみつ
備前国総社宮のはちみつは3種類あります。
4月のはちみつ「卯月」は桜が中心のはちみつです。桜のはちみつは花が咲く時期が一瞬で稀少です。
花が一番多い季節、5月のはちみつ「皐月」は百花蜜の濃厚な味わい。
6月のはちみつ「水無月」。蜜蜂たちが「榊」の蜜を集めている姿をよく見かけられたそうで神社ならではの、めずらしいはちみつです。
榊の蜜が入った「水無月」は口のなかでやさしい花の香りがふわっと広がり、クセのないすっきりとした味わいです。
心やさしい神様が祀られている神社
備前国総社宮でお祀りされている神様は、大己貴命(大国主命)【おおなむちのみこと(おおくにぬしのみこと)】。神話「因幡の白兎」でワニザメに毛をはがされた白うさぎをガマの穂で作った薬で治療し助けた心やさしい神様です。
医薬、医療、再生復活のご利益が賜れます。
別名は「だいこく様」で、商売繁盛、縁結びの神様として有名です。
大己貴命(大国主命)の正妻、須勢理毘売命(すせりびめのみこと)は夫婦円満、家内安全、縁結びの神様です。
神社と養蜂
春から夏にかけて神社は参拝客が少ない時期をむかえます。
社務所の仕事と両立しながら何かできることはないかと、思いついたのが養蜂だったといいます。
11年前に宮司さんが始めました。
ご親戚に養蜂をされている方がいて、養蜂を教えてもらったそうです。
備前国総社宮では、はちみつは6月までしか採りません。
7月以降は次の季節に向けて採蜜はせず、群れの充実を図ります。
蜜蜂たちは、はちみつを普段も食べますが晩秋から冬のあいだの食糧として貯めておきます。
7月以降は蜜源となる花も少なくなって秋の花が咲き始めるまでは、蜜蜂たちには過酷な季節です。
備前国総社宮の養蜂場では花がたくさん咲く季節にはちみつを分けてもらい夏以降は採らず、蜂の数を増やし冬を乗り切れる強い群れに育てます。
備前国総社宮と蜜蜂
長崎さんは5年くらい前に宮司さんから養蜂を引き継ぎ、蜂の世話をしてきました。
生き物ですし、ご苦労もあったといいます。
夏の終わりごろスズメバチが蜜蜂とはちみつを狙いに来て、巣箱まるごと全滅してしまったこともあったそうです。
まめに巣箱の中のようすを観察して異常がないか確認したり、病気の予防をしたり、タイミングよく採蜜をしたり。養蜂は手間がかかります。
長崎さんはお一人で、毎年平均して巣箱9箱(約36万匹)の西洋蜜蜂を育てています。
「ここのはちみつは、きれいなんですよ。咲いている花ごと月ごとで色が違います。すっきりとしてクセのないとってもおいしいはちみつです。お参りの時には手に取ってみて頂けたらと思います」と長崎さん。
神社の手水舎に水を飲みに来ている蜜蜂を見かけたら、そっと暖かく見守ってくださいね。
備前国総社宮のご利益のある自然豊かな場所で採れた、はちみつをぜひ味わってみてください。