花餅の作り方とは
花餅とは飾り餅の一種で、菊や桔梗、桜など花や蝶などの形をのし餅で模ったもの。
ちょうど、妹尾小学校のPTA行事で子どもたちが花餅を作るというので見に行ってみました。講師は地元老人クラブ・妹尾地区福寿会の佐藤曻さんらメンバーです。
作り方は、まず事前に餅をつき、のし餅にしたものを長方形に切り分けます。2時間程度冷ましてから、図案を見ながら包丁と指先だけを使い、菊の花やトンボを模っていきます。初めて作るという小学生たちも、佐藤さんらに教えてもらいながら上手に作っていました。
最後に赤や緑、黄色で彩色します。現在は食紅を使っていますが、昔はヨモギやクチナシで色付けしていたといいます。
毎年、4月の第一日曜日に開催される「妹尾・箕島ふるさとさくら祭」でも、一般に向けて、花餅作りの体験イベントが開催されています(開催については、コロナの状況によって変更する可能性があります)。
“地域の宝”花餅を
守る人たち
民藝運動の先駆者である柳宗悦も花餅の美しさに惹かれ、「花ヨリモ花」と歌に詠み、手仕事による民藝の心を伝えていると評しました。1978年に発行された「山陽山陰 民芸の旅」という本の中でも、倉敷ガラスや倉敷緞通などと並んで、花餅のことが紹介されています。
元々は、花にちなんだ言い伝えが多い日蓮上人の命日である「御会式(おえしき)」(旧暦の10月13日)に、檀家の人たちが自宅で花餅を作り仏前に供えたのがはじまり。
福寿会のメンバーも、子どもの頃に見た程度で、一度は途絶えそうになった時期もありましたが、記憶を頼りに、2004年、故・佐藤晃さんが19パターンの図案を作成。今もこの図案を使って、福寿会は講習会を行なっています。花餅の図案は妹尾公民館で見ることができます。
「大寺」と慕われる
盛隆寺
人々が花餅を供えていたのが「大寺(おおてら)」と親しみを込めて呼ぶ、日蓮宗の啓運山盛隆寺(けいうんざんじょうりゅうじ)です。
11月22日の「御会式」は、町全体の祭りとして万灯行列や地域の子ども達による「歌題目」、道沿いにズラリと出店が並ぶなど、毎年賑やかに執り行われてきました(コロナ禍により、祭りの規模は縮小しています)。
盛隆寺住職の山本隆勝さんは、御年92歳。「日蓮上人は、花に生まれて花に亡くなられました。花のない寒い時期に亡くなられたので、せめてもと花餅を作り供えました。花餅とは、人々の信仰心から自然に湧き起こったものなのです」と話します。
“地域の宝”として大切に受け継がれるあたたかい思い。花餅にはそんな願いが込められています。
【盛隆寺】
住所/岡山市南区妹尾1757
「井戸マップ」片手に
井戸巡り
昔、妹尾は児島湾の海岸沿いだったため、平地から塩水が沸くなど飲料水を確保することが困難でした。そこで人々は山手に井戸を掘り良質の飲料水を得ていました。昔は井戸で汲んだ水を売り歩く人の姿も見られたそう。
今でも、六角形や七角形の井戸のほか、戸川家陣屋に作られた「陣屋の井戸」、妹尾で最も大きな「つちえの井戸」など様々な形の井戸を見ることができます。「妹尾公民館井戸マップ作成プロジェクトチーム」による、“妹尾編”、“箕島編”のマップを片手に、井戸を巡ってみるのも楽しいですよ。「井戸マップ」は妹尾公民館でもらうことができます。
懐かしい街並みと
人情に出合える
井戸のほかにも、路地や昔懐かしい風景が残ります。
創業50年という「長瀬お好み焼き」からは、美味しそうなソースの匂いが。目の前の鉄板で焼くお好み焼は600円。一番人気というモダン焼き(750円)を注文してみました。
薄い生地の上にキャベツと卵と豚バラ。さらに細めの麺と卵がもう一つ。コクのあるソースと良い相性です。常連客でいつも賑わう永瀬のお好み焼きは、妹尾のソウルフードです。
気さくで親切な人が多い妹尾。お店で隣り合った者同士、自然と会話も弾みます。人情味溢れる町を訪ねてみてはいかがでしょうか。
【長瀬お好み焼き】
住所/岡山市南区妹尾698
電話/086-282-3883