岡山駅前に養蜂場!?ミツバチが繋ぐ観光資源と環境教育

岡山駅前に養蜂場!?ミツバチが繋ぐ観光資源と環境教育
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JR岡山駅前のビルの屋上で昨年からスタートした「おかやまミツバチプロジェクト」では、岡山大学やJAなどと連携し、街の中心で約8万匹ものミツバチを飼育しています。
今回はプロジェクトの運営事務局である「桃太郎ハニーラボ」の井上代表へお話をお伺いしました。

掲載日:2023年05月02日 最終更新日:2023/05/05

ライター:観光ライター 杉原

「おかやまミツバチプロジェクト」とは?

岡山の中心部で本当に養蜂ができるのかしら…?と思いながらJR岡山駅の目の前にあるビルの屋上へお邪魔すると、
ビルの屋上にある喫煙スペースを改装した日当たりの良いオフィスが。
「おかやまミツバチプロジェクト」を運営していらっしゃる「桃太郎ハニーラボ」の代表をされている井上様が笑顔で迎えてくださいました。
さっそく、「おかやまミツバチプロジェクト」の全容をお聞きすることに。

井上様:
岡山大学やJAなどと連携し、天満屋グループの持ち株会社でもある「丸田産業株式会社」が主体となり、現在8万匹余りのセイヨウミツバチを飼育しております。
こちらのビルの屋上は数年前まで何もない状態で、「スペースがもったいないから何かに利用できないか?」という観点から養蜂場をスタートしました。
当プロジェクトは、2006年銀座ミツバチプロジェクトを筆頭に、梅田、札幌、広島など全国で100か所以上の拠点があります。
岡山県は養蜂戸数が現在全国3位ということもあり、プロジェクトを始めるにもピッタリだと考えました。

岡山県産蜂蜜の贅沢な味わい

晴れの国である岡山県は人間だけでなく、ミツバチにとっても活動しやすい場所。
ミツバチたちが岡山の街に咲く花々から集めてくれたはちみつは、一般的なはちみつと比較してどんな特徴があるのか気になるところです…。
と、考えているとはちみつの試食をさせていただくことに!
澄んだ黄金色をしたはちみつを口に含むと、強い甘みの中にも、鼻から抜ける爽やかな花々の香りがありました。
一口いただいただけで、何とも言えない贅沢な気持ちにさせてくれる美味しいはちみつです。
今回試食させていただいたものは、なんと糖度が約83度、水分含有率は16%程度。
採取の度に多少数値は変動しますが、一般的なはちみつだと糖度が約80度、水分含有率が20%程度で高品質といわれます。
おかやまミツバチプロジェクトのはちみつは、今まで採取したもの全てが美味しいはちみつの糖度・水分含有率を超えているそうです。

井上様:
また、季節の移ろいに伴い花が変わることではちみつの色や風味が変化することも特徴です。
例えば薄い黄色のはちみつは、6月頃に咲くクロガネモチという街路樹の花の蜜が主に使われていると考えられます。クロガネモチは別目が「アクラ」であり、あくら通りという名前は街路樹から由来しているそうです。
7月には西側緑道公園のトウネズミモチ、エンジュから蜜が集められ、はちみつは濃いオレンジ色になります。
また、真庭で真庭組子とオーダーメイド家具を製造しておられる株式会社佐田建美さんとのコラボレーションで、岡山県産のヒノキの間伐材・廃材を使ったパッケージ開発を行いました。
岡山県のふるさと納税の返礼品にもなっているので是非とも多くの方にお手に取っていただきたいです。

SDGs推進、環境教育の現場を担う

ミツバチは、汚染された地域では生きていけない「環境指標生物」です。
また、ミツバチが蜜を集める際に受粉を促すため、多くの草花、果樹、野菜が結実できます。
おかやまミツバチプロジェクトの活動は「生態系の循環」を学ぶきっかけには最適の教材ですね。

井上様:
ミツバチの受粉行動は私たちが食べている約1/3の農作物に貢献しており、私たちの生活に強い結びつきがあるのです。
加えて、SDGsの開発目標の17項目の中の
・11:住み続けられるまちづくりを
・13:気候変更に具体的な取り組みを
・15:陸の豊かさを守ろう
を目的として、SDGsの活動に積極的な岡山大学との共同研究、創志学園高校の先生、高校生たちとの連携、小中学生たちの見学会の企画等、様々な環境教育活動を行っています。
小学生の親子向けのワークショップでは農政局と連携し、農業を絡めた環境教育ワークショップを開催しました。
話題性だけの蜂蜜作りではなく、「環境教育」、「緑化促進」、「地域振興」に取り組むことが当プロジェクトの主な活動です。

養蜂場でミツバチとご対面

さいごにプロジェクトの拠点である、養蜂の現場を見せていただくことに!
蜂に刺されないよう白い防護服も貸していただき屋上に出てみると、ラベンダーの鉢植えと、5つの巣箱が並んでいました。
ひとつの巣箱には女王蜂が一匹と約2万匹弱の働きバチがおり、社会性昆虫とも呼ばれるミツバチにとってはまさに巣箱がひとつの社会。
その中で、それぞれのミツバチが仕事を分業しながらはちみつを生成してくれています。

井上様:
一匹のミツバチが一生かけて集めることができるはちみつが2~3g程。
そして、ミツバチが持って帰ってきた蜜は最初、糖度20度程度、水分含有率が60%ほどです。
蜂の体内のアミノ酸が混ざったり、巣箱の中で蜜の水分を飛ばしたりすることで、私たちが口にするはちみつの味に少しずつ変化します。
白い蜜蓋ができた部分は十分な糖度があるはちみつが貯蔵されています。

おかやまミツバチプロジェクト、今後の展望とは?

井上様:
おかやまミツバチプロジェクトでは、昨年の4月末から7月末までの8回の採蜜で当初計画の2倍以上である約340kgのはちみつを採取しました。
一方で、はちみつ自体はもちろん、コラボレーションした商品等もすぐに売り切れてしまい、現在は在庫もない状態です。
今年は採蜜500㎏を目指して、巣箱を3つ増やそうと考えています。
地域振興の面では、修学旅行や研究旅行でも立ち寄っていただけるような「自分の中に経験として残る観光」ができる場所にしたいと考えております。
そして、何よりも街中において「本物の昆虫や草花にふれることができる環境教育の選択肢」であり続けたいですね。





「環境教育」、「緑化促進」、「地域振興」といった多岐にわたる取り組みをされている「おかやまミツバチプロジェクト 桃太郎ハニーラボ」。
活動開始から1年経った現在、様々なメディアでも取り上げられ岡山県のSDGsの中心を担っていらっしゃいます。
プロジェクトのサポーターを募集中とのことで、私もさっそくサポーター登録をさせていただきました。
採蜜のお手伝いなどする中で、おかやまミツバチプロジェクトがどの様に発展されていくのか、応援し続けていきたいです。

岡山市公式観光情報 OKAYAMA KANKO.net