パクチー!パクチー!パクチー!の魅力に迫る

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パクチーは好きですか? 岡山市北区牟佐では、香りがマイルドな「岡山マイルドパクチー(通称・岡パク)」を2000年から栽培しています。真夏に旬を迎える(旬は夏と冬の2回)「岡パク」は、東京や大阪、横浜など都市部の料理人からもラブコールを受ける、知る人ぞ知るパクチー。その魅惑のパクチーを作る「岡パク大使」の植田輝義さんに聞きました。

掲載日:2023年08月07日

ライター:観光ライター 頼實

個性的な10種類の種から、岡パクの種を発見

7月初め、「アーチファーム」代表・植田輝義さんの畑がある岡山市北区牟佐を訪ねました。ビニールハウスの中では、収穫を控えた岡パクが大きく育っていました。
岡パクとは、アーチファームと協力農家4軒で生産している香りがマイルドなパクチーのこと。葉は柔らかく、サラダなど生食に向いているため、たっぷり山盛り食べられるという特徴があります。
もともとパクチー嫌いだったという植田さんが、研究の末、10種類の種の中から唯一、食べやすいと感じた種を自家採取し栽培を開始。20年かけて、岡山の風土に合った味に育てたと話します。購入方法は、アーチファームのオンラインストアか、オンライン直売所「食べチョク」から。

年間生産量は7〜8トン。そのほとんどが東京・大阪など都市部の飲食店へと出荷されます。
最近は、岡山県内の飲食店への出荷も増加していて、岡パクを使ったメニューや商品の開発も進んでいます。
「現在、県内10店ほどのお店で岡パクを使った料理が提供されています。フォーやカレーといったエスニック料理から、お好み焼き、寿司、スムージー、モヒートなどさまざま。岡パクが岡山ならではの食材として、食文化の幅を広げてくれるのが嬉しいです」と植田さん。

岡パクは根っこ付きで勝負

岡パク栽培で最も大切にしているのは、旨味や甘みを蓄える力強い根っこを育てることと言います。「土に適度な牛糞を漉き込むことと、中耕といっていつもフカフカになるように土を耕して、空気がたくさん入るように心掛けています」
兵庫県揖保郡太子町出身の植田さんは、もともと鉄鋼業界で働く鉄鋼マンでした。結婚を機に岡山へ移住し、妻・美穂さんの実家の家業だった黄ニラの専業農家になりました。
農業に転向して2年目から、黄ニラ栽培と並行してパクチー栽培をスタート。最初は苦労の連続だったと話します。

根っこ付きでパクチーを出荷し始めたのも、植田さんのアイデア。
東京など遠方への流通過程で鮮度を保つためにも、根っこの存在が大切だと話します。
「パクチーは捨てるところがありません。根っこが実は美味しいので食べてみてください」と植田さん。
露地栽培している黄ニラも明治始めから牟佐で作られている岡山を代表する伝統野菜の一つ。黄ニラはここから一度刈り取り後、遮光栽培という光を遮る特殊な方法で栽培されます。

家庭で根っこの天ぷらに挑戦!

生産者ならではのおすすめの食べ方を教えてもらいました。
まずは、植田さんイチオシの「根っこの天ぷら」。片栗粉をまぶした根っこを油で1〜2分程度揚げます。
揚げているうちに、バニラのようなミルキーな甘い香りが漂ってくることに驚きます。お菓子のような甘い香りに本当にパクチー?と感じるほどの衝撃でした。

見た目はゴボウのようですが、一口食べてみると、サツマイモのような甘みが感じられます。
揚げたての食感は、山菜のタラの芽のようなもっちり感があってクセになります。パクチーの根っこと言われても、ピンとこないかもしれません。「甘みと旨味が感じられるのは岡パクだからこそ。根っこ作りを一番に考えて育てている結果です」と植田さん。

ムシャムシャ食べられるサラダ2品

続いて、植田さんおすすめのサラダのレシピ2品です。
1つ目は、豪快に大きめに刻んだパクチーの上に、ピーナッツとレモンを合わせるレシピ。
ピーナッツはお好みで刻んでも潰しても良し。レモンはレモンドレッシングでも可です。
パクチー好きにとって、パクチーとレモンは鉄板の組み合わせ。そこにピーナッツのカリカリした食感が合わさり、刻むだけのレシピですが、ご馳走感が出る一品になりました。

2品目は、パクチーの胡麻ドレッシング和え。胡麻ドレは子どもから大人まで幅広く好まれる味。パクチーが苦手な人でも、知らない間にパクパクと食べてしまいそうです。
そのまま、そうめんの具材にしても良さそうです。
「ピーナッツレモン和えは、日本酒のおつまみに絶対合います。生食が一番栄養価が高い食べ方なので、ぜひムシャムシャ山盛り食べてほしいですね」と植田さん。

軍艦巻きなど個性派揃いの店メニュー

岡パクを使ったメニューがある飲食店を訪ねてみました。
岡山料理専門店の「cooking of art ikiya」では、岡パクや黄ニラ、連島レンコンなど岡山を代表するブランド野菜と千屋牛、瀬戸内の魚介類を使った料理が味わえます。
1品目は、「岡山パクチーのにぎり」(1カン280円・写真は2カン)。醤油で下味をつけたパクチーが溢れんばかりに山盛りになった軍艦巻きは超個性的なビジュアル。岡パクの魅力がダイレクトに伝わります。

2品目は「岡山パクチーとアミエビのかき揚げ」(920円)。
「玉ねぎとアミエビが入っていますが、パクチーがほとんど」と店主の小川隆行さん。アミエビの香ばしさとパクチーの相性の良さが楽しめます。パクチーとモヒートを合わせた「岡パクヒート」(700円)もリピーターが多い人気メニューです。
このほか、お好み焼き「もり」、焼き肉「ひだや」などでも、岡パクを使った自慢のメニューがあるのでチェックしてみて。

岡山市公式観光情報 OKAYAMA KANKO.net