大手饅頭伊部屋
京橋本店
天保8年創業「大手饅頭伊部屋」。岡山城大手門に店を構えていたことから当時の備前藩主池田侯より賜ったとされるのが「大手まんぢゅう」という名称なのだとか。この看板商品である「大手まんぢゅう」は、備前地域を代表する銘菓として180年以上存在感を放ち続けています。原料となる小豆や砂糖、小麦粉はもちろん、水やお米に至るまで厳選されたものが使用されているそう。脈々と受け継がれてきた伝統とともに、私たちの「一息」に寄り添い続けています。
●大手まんぢゅう
誕生より藩主の寵愛を受け、必ず茶会で愛用されてきた歴史ある銘菓。中の餡が透けて見えるほど薄く繊細な生地は、古くから米処として知られる備前の良質なお米を用いた甘酒が混ぜ込まれています。こちらの生地で北海道産小豆を特製の白双糖(しろざらとう)で練り上げた餡を包み込み蒸し上げることで、生地と餡が調和し甘く芳醇な香りが生まれます。昔ながらの製法から生まれる甘酒のコクと、餡の甘みが調和した味わいはまさに別格。滑らかな餡の舌触りと、生地の柔らかく豊かな香りに、つい「もうひとつ」と手を伸ばしてしまいます。
●もなみ
地元の公募により決定した可愛らしい名前と、小柄な見た目が特徴的な最中。漉餡(こしあん)に混ぜ込まれた大納言小豆はほくほくと食感もよく、ほどよい甘みが特徴的です。上品な味の小倉餡を、最初はサクッと、そして徐々にしっとりと口当たりを変える最中種が包み込みます。最中種にあしらわれた模様は美しく、贈答品としてもぴったり。キャッチフレーズは「小粋でかわいい最中」ということもあり、控えめながらもしっかりとした風味と、細部にまでこだわられたその見た目は、まさに粋。日本人の心とも呼ぶべき「最中の魅力」がここにはありました。
宗家 源 吉兆庵
世界の和菓子メーカー、「源 吉兆庵グループ」。その名前の由来には、『源』が和菓子の原点、『吉兆』は喜びの兆し、『庵』は人が集う場所というそれぞれの意味が込められています。季節に寄り添って作られる美味しく、美しい和菓子はまさに一点一点が美術品。岡山が発祥の地であり、岡山駅前本社ビルは街のランドマークとなっています。加えて、世界中に支店を展開し成長を続けるグローバル企業として、今後も目が離せません。
●福渡せんべい
上品な甘さのクリームを、波型の洋風せんべいで挟んだ「福渡せんべい」。こだわりのブレンド粉を使用した軽い食感の洋風せんべいが、噛む度に心地良い音を奏でます。また、ほどけるようなくちどけのクリームが口いっぱいに広がり、まろやかな余韻を楽しむことができます。縁起の良い名前から、手土産や贈りものにもぴったり。幅広い年齢層に愛され、様々なシーンで喜ばれる存在です。
●自然シリーズ 冬:粋甘粛(すいかんしゅく)
自然シリーズは春夏秋冬でそれぞれの旬の果実の姿・形・味わいをそのまま和菓子に見立てた期間限定の一品です。現在店頭の並ぶ自然シリーズは、薄く羊羹で包み込んだ国産干し柿の中に口どけの良い白あんを包み込んだ「粋甘粛(すいかんしゅく)」。職人の技が光る三層構造でありながらも、素材の持つ本来の美味しさを引き出す作りとなっています。中でも、奥深い甘みを持つ飴色の干し柿は、温度・湿度に対する徹底的な配慮のもと仕上げました。また、4月上旬から販売が開始予定のさくらんぼのゼリー「花桜桃(はなおうとう)」もお楽しみに。また、岡山らしさを感じる夏の陸乃宝珠や、季節の風物詩である秋の御前栗も今から発売が待ち遠しいですね。
浦志満本舗
創業より80年もの間、「美味しいものしか作らない、売らない」という信念のもと、和菓子の専門店として歩んできた浦志満本舗。「素材との出会いを大切に」という伝統は、先人たちの技術とともに大切に受け継がれてきたものです。しかし、伝統に縛られるばかりでなく、創意工夫を忘れない心で、丹精込めたお菓子を世に送り出し続けています。「小福まんじゅう」をはじめとした、岡山ならではの甘味はいつでも私たちの心を柔らかく包み込みます。
●小福まんじゅう
包装を解くことでまず鼻を抜けるのは、純米酒の芳醇な香り。その香り高い生地の秘密は、瀬戸内の豊かな風土に育まれた雄町米を醸したお酒です。小麦粉に純米酒と酒粕を惜しむことなく練りこんだ生地が、まろやかなこしあんの風味を包み込みます。「当社でしか作ることのできないお菓子」を目指しているという本品。まんじゅう全体の柔らかな舌触りは、なかなか再現することができないのだとか。香りが豊かな酒まんじゅうは、あたたかな番茶やほうじ茶がよく合うそうです。食べやすい楕円型のフォルムに、つい次から次へと手が伸びてしまいます。
●岡山城 城普請三氏
岡山城にゆかりのある大名三氏の名を冠する本品。「宇喜多侯」は中のこしあんに、梅の甘露煮が入っています。和三盆の甘みが程よく主張するその風味は格別。「小早川侯」はくちどけ滑らかな乳菓と、後味を引き締める柚子の香りが特徴的。ふわりと香るミルクの甘みが、とてもまろやかです。「池田侯」は、厳選された小豆を丹念に炊き上げた粒あんを、シンプルな生地で包み込んだもの。ほくほくとした食感と素朴で優しい味わいは、どこか懐かしい気持ちにさせてくれます。三種類をそろえて、岡山城に想いを馳せながら食べ比べをするのも楽しいですね。
下山松寿軒
岡山後楽園が岡山県の所有となったのとほぼ同時期である、明治20年創業の下山松寿軒(しもやましょうじゅけん)。名園の中を優雅に舞う鶴の姿に魅了されたのが、初代下山治四郎でした。看板商品である「つるの玉子」は、岡山後楽園の鶴から着想を得たものだそう。自由な発想で和菓子の考案をつづけた創業者の精神は今なお健在。和洋折衷のお菓子の開発など、新たなお菓子への挑戦に余念がありません。駅前桃太郎通り、人々が行き交うこの場所で変わらぬ誠実な心で営業を続けていらっしゃいます。
●つるの玉子
明治の世に、人々の心をわしづかみにして以降、現代まで愛され続ける銘菓。ふんわりしたマシュマロと、滑らかな黄身餡が溶け合う独特の食感は唯一無二です。めでたい紅白のカラーリング、そして玉子に見立てたそのビジュアルは、贈り物としてもぴったり。洋菓子であるマシュマロを和菓子として取り入れた本品は、林芙美子の『放浪記』にも登場すると言います。「明治の食遺産」ともいえる本品は、岡山県民ならば一度は味わってみたい一品です。文化の交流が本格化した明治時代のバックボーンにも思いを馳せながら味わってみてください。
●レモンケーキ
「洋菓子倶楽部 岡山晴れ子」のラインナップの1つ。可愛らしい見た目は、贈り物にも、普段使いのティータイムのお供にも大人気です。こだわりの原材料だという卵は、餌から手作りしている広島県の石本農場のものを使用。こだわりぬかれたスポンジを包む表面のホワイトチョコレートにも高級品を厳選して使っているとのこと。オーガニックのレモンピールは爽やかに味を引き締めます。シンプルながらも、個々の素材がお互いを引き立て、リッチな味わいを感じることができます。休日の穏やかなひとときを、控えめに、そしてつつましくふわりと彩ってくれる一品です。
廣榮堂 中納言本店
「廣榮堂(こうえいどう)」は160年の歴史を誇る岡山の「きびだんごの顔」。王道のお土産としてだけでなく、地元の旬の食材をふんだんに使用した中納言本店に併設される「廣榮堂茶房ひねもす」のカフェランチなど、様々なシーンで他県からのお客様に紹介したくなる存在です。また、工場見学を無料で行ったり、給食にお馴染みの吉備団子を登場させたりと、地域に愛される工夫が盛りだくさん。今後は全国へ、世界へ美味しい和菓子を提供していくことが目標だそうです。
●むかし吉備団子
贈答品として愛され続ける「むかし吉備団子」は、40年以上変わらぬ製法と味を守り続けています。24個入りは重厚感のある包装を開くと、「秋田杉」の滑らかな木肌があらわれ、吉備団子にもほんのりと杉の香りがうつり、贅沢な風味を演出しています。もち米は契約農家からの減農薬もち米のみを使用。昔ながらの製法にこだわっており水引き(臼)で調製されています。こだわりの吉備団子はモチモチ感が強く、一つあたりの大きさも通常のものより一回り大きく、口に含んだ際の満足感は格別です。(写真はメニューではなく包装を解いた際のイメージ)。
●ホットケーキ風どら焼き
一日8食限定の人気メニュー。見た目も風味もどら焼きの生地ですが、ふわふわとした食感はホットケーキを連想させる、まさに「いいとこどりの逸品」です。贅沢な五段重ねの焼きたて生地の上には、大判の大山バターが乗せられています。皿に散りばめられたフランス産岩塩が、味と食感の両方でアクセントとなり、飽きの来ない設計になっています。加えて、黄ニラ大使で有名な、農業法人アーチファームのパクチー畑で採取されたハチミツが添えられて提供されるため、お客さまご自身で蜂蜜をたっぷりかけて召し上がって下さい。なくなり次第終了となりますので、ご注文は是非ともお早めに。
知るほど好きになる、和菓子の魅力
知れば知るほど奥深く、その魅力に惹きつけられる和菓子。
素朴な美味しさ、姿の美しさはもちろんのこと、その歴史や、企業の追求するこだわりにまでフォーカスすることで、小さな和菓子をもっと愛おしく思うことができます。
銘品を訪ねて、「岡山県発祥の和菓子屋さん巡り」をしてみてはいかがでしょうか?