メロン団地の生産者を訪ねる
岡山市北区の最も西端に位置する足守地域は、昭和初期からメロンの産地として知られ、1年を通してガラス温室で「マスクメロン」(品種名アールスメロン)を栽培してきました。生産量が最も多いのは7月と10月で、全国のリピーターに発送しています。
筆者も以前、足守出身の近所の方から頂いて以来、足守メロンのファン。行ってみたかったメロン団地を訪ねてみました(メロン団地にメロンがない場合もあるので、必ず電話【086-295-1946】で事前に確認してから、お出掛けください)。
まず、車で目指すは「大井」の三叉路。そこを右折するとすぐ「メロン団地」の看板が見えてきます。看板横の急坂に一瞬ひるみますが、ためらわずぐんぐん登っていきます。
岡山桃太郎空港からなら、「大井」三叉路の直前の右手側に看板が見えます。岡山桃太郎空港からは車で15分程度とアクセスしやすいです。
足守メロンの食べ頃は?
メロン団地では、山の斜面に沿ってガラス温室が38棟連なります。
以前は、足守全体で100軒ほどいた生産者は、現在8軒まで減少。そのうち3軒がメロン団地で栽培しています。団地全体では、年間約3.5万玉ものメロンを出荷しているのだとか。
若手生産者の板野純也さんと森真吾さんの2人に話を伺いました。
足守メロンの特徴は、一本の苗から一個のメロンを栽培するところ。複数から最終的に一番良い実だけを残して、養分を集中させます。また、全国的にも珍しい、床を地面から離したベンチ栽培という栽培方法で育てています。
価格はメロンの大きさによって異なり、主に3000円、3500円(税別)。食べ頃は収穫からだいたい1週間後です。
長年、足守メロン栽培に取り組んでいた能瀬国生さんの下で3年間修行した後、昨年独立したばかりの森さん。妻の名奈さんとともに、足守メロン農家の期待の新人です。
「後継者を探していた能瀬さんのところに弟子入りした形です。天気や経営など、自分の裁量で全てできるところにやりがいを感じています」と森さんは話します。
山の斜面は日当たり良好。
メロンに適した温度は20〜30度で、温室内に入ると、温度と湿度でサウナのようです。温室内での夏場の作業は過酷だといいます。「メロンの生育に合わせた環境なので、人には大変な環境ですよ」と2人は話します。
可憐な花をつける「ブプレウラム」
一方、板野さんは、祖父の代から引き継いで3代目。システムエンジニアなどを経て、就農して15年目になります。
「『足守メロンなら間違いない』と言ってもらえるようなメロン作りを心掛けています。お客さんに喜んでもらえることが何より嬉しい」と板野さん。板野さんのメロンは、岡山市街地や総社市のケーキ店などへも出荷され、足守メロンの知名度向上に一役買っています。
もう一つ、メロンの裏作として栽培が始まった「ブプレウラム」という花も足守地域の特産品です。取材したこの日はシーズン最後の花を見ることができました(毎年11月〜6月ごろまで出荷)。
ヨーロッパ原産のブプレウラムは優しいグリーンに、可憐な黄色い花をつけます。メインを引き立てる添え花として人気だそう。「地域の気候にも合っています。岡山県はブプレウラムの生産量が全国3位。そして、岡山県全体の9割を足守地区で作っています」と板野さんは話します。
「洪庵茶屋」で足守メロンを堪能
足守メロンを気軽に楽しむなら、洪庵茶屋の「メロンジュース」(700円)をぜひ。足守メロン100%を使用したジュースは、マスクメロンの特徴である上品な香りと贅沢な甘味が堪能できます。暑い日に飲みたくなる美味しさです。分厚めのメロンが一切れ付くのも嬉しいポイント。そのほか、2種類のカラーから選べる「足守メロンクリームソーダ」(700円)もあります。
また、洪庵茶屋では足守メロンの販売もしています。自宅用は、2300円〜2500円程度。
進物用は化粧箱入りで3000円〜です。自宅用と進物用の違いは、網目のキメの違いなのだとか。「味はどちらも変わらぬ美味しさですよ」と洪庵茶屋のスタッフ。販売用のメロンはない場合もあるので、電話【086-295-2728】で問い合わせをしてください。
見た目にも麗しいメロンパフェ!
足守メロンを使ったパフェを提供するカフェ2カ所も紹介します。
足守川沿いの人気カフェ「ピッコロテラス」では、毎年6月中旬〜11月末までの期間限定で「足守メロンパフェ」(1250円)が登場(メロンパフェは予約がおすすめ)。
母娘二人三脚で手掛ける季節の野菜をふんだんに使った日替わりランチ(限定20食)とスイーツが人気です。納屋をリノベーションした隠れ家的なカフェで、お客さんが途絶えません。
「足守ならではのスイーツメニューを作りたくて、5、6年前にパフェを考案したのが始まりです」と、スイーツ担当の娘さん。
グラス内には、自家製グラハムビスケットやハイビスカスのゼリー、角切りメロンなどが入っていて、上部にはシフォンケーキ、フローズンのレアチーズムース。そして、三日月状に大きくカットされた足守メロンがトッピングされています。
丸ごと一個メロンを使用したパフェ「丸ごと足守メロンプリンアラモード」は、スパイスカフェ「RATIO」のスペシャルな一品です(5日前の完全予約制)。
2、3人でシェアできるボリュームで、価格は時価で4500円〜。カッティングした足守メロンを器に見立てて、地元・湯浅養鶏場の平飼い卵を使用した自家製プリンと季節の果物が彩りを添えます(写真はイメージ。果物は時期によって変更します)。
提供はランチ営業が終了した14時半以降。一からカッティングするため、オーダーから20分程度かかります。
シェフ・飯塚恵太郎さんのカッティングの技術が光るパフェは見た目にも美しいので、家族や恋人とシェアして食べたいですね。店頭では、足守メロンの販売もあります。
そのほか、安富牧場の足守メロンアイスも要チェックです。