3/2に「おかやまZINE(ジン)スタジアム」開催。作り手に聞いて私も作ってみた!

3/2に「おかやまZINE(ジン)スタジアム」開催。作り手に聞いて私も作ってみた!
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文学によるまちづくりを進める岡山市は、「おかやま文学フェスティバル」の一環で3月2日(日)、「おかやまZINE(ジン)スタジアム」(場所:旧内山下小学校、時間:11時〜16時)を開催します。今年で2回目。出店者は昨年より増加し、88店101ブースと、年々盛り上がりを見せています。ZINE、ZINEとよく聞くけれど、具体的にはどんなもの? 今回は、作り手にインタビューするとともに、筆者も撮りためた趣味の写真で実際にZINEを作ってみました。内容やデザインを考えて思いを形にする楽しさ、そこから広がる人の繋がり。ZINE初心者が感じた魅力や、文学をきっかけにした岡山の豊かな人づくり、街づくりを紹介します。

掲載日:2025年02月16日

ライター:観光ライター 頼實

「わたし」の思いをZINEで“形”に

大学生の野村朱里さんは、昨年に続く2度目の参加です。前回好評だった「学食本」第2弾のほか、短編小説、写真集「鳩本」など4作品を出品予定です。
中学の卒業記念に、ファンタジー小説のZINEを作ったのが最初。「形にできることが嬉しいし、自分の見ているものを目の前の人と共有できる楽しさがZINEを作る理由」と野村さんは話します。「鳩本」は、普段スポットライトが当たらない鳩の愛らしさに注目した一冊で、48ページフルカラー。初のグッズ「鳩キーホルダー」にも注目を。

「10年後になくなる風景」をテーマに全国を旅してZINEを作る武部将治さん。ZINEスタジアムには、新刊「昭和街道〜まちと映画館」(32ページ、フルカラー)を出品します。
レトロブーム到来前の2018年に、「消える商店街」から始まったシリーズは今回で6作目。きっかけは、東北の炭鉱町にあった映画館の解体に際して、「写真で残しておく必要性」を強く感じたこと。「あまり知られていない街でも、歩くと発見があります。読んだ人が旅に出るきっかけになれば」と武部さん。今回の「まちと映画館」では、北木島の旧映画館「光劇場」が表紙を飾ります。

「表現を磨き、書きたい人の助けに」

「おかやま文学フェスティバル」の運営にも携わる守安涼さんは、短編集「夜の航海」、写真集「お城とベンチ」、エッセイ「YAMETA」など4作品を出品。20代から関わっている雑誌「アフリカ」や、秋に立ち上げた読書会「サイレントブッククラブ」のリーフレットも用意しています。
小説やエッセイを書くことは、編集者の守安さんにとって、表現に磨きをかける練習だと話します。「文章は書けば書くほど発見があり上達します。いつか、書きたい人の助けになれたら」と守安さん。SNSとは違って、伝えたいことをストックできる点もZINEの魅力。見せ方などレイアウトの自由度も楽しんでいるそう。

漫画家・絵本作家のなかむらくまさんは、絵本「ディアスノーマム あるゆきの日」を出品します。なかむらさんは、これまで、動物をモチーフに心温まる短編や読み切り漫画を商業誌で発表。
元々、漫画として描いた作品を32ページの絵本に作り直したのが「ディアスノーマム」です。物語は、一匹の猫と夫婦の家族のお話で、シンプルな優しい絵と短い文章で構成されています。
初のZINEスタジアム参加について「同じような作家さんたちと会って、人の輪を広げていきたいです」となかむらさんは話します。ポストカードも用意しているそうです。

私も自分のZINEを作ってみることに

手元にあったZINEからは、サイズや紙質、デザイン、文字のフォントなど作り手のこだわりが感じられます。どうやら自由に作ることがポイントのようです。
私の場合、コピー用紙に写真を貼るアナログ作業から始めました。思いのままにコメントを書き込んでいると、ものづくりの原点のワクワク感を思い出すような楽しさです。手を動かしながら、全体の構成はどうするか、印刷業者に発注するか、何部作るか、販売価格はどうするかといった細かな内容を考えていきました。

寄稿してもらうなど友人の協力を得て、仕上げは、ZINEを作っている友人にデザインやイラストを担当してもらいました。製本作業も楽しいとアドバイスをもらい、自宅のプリンターでコピーしたものをホッチキスで一冊ずつ中綴じして完成させることに。
家事や仕事の合間に、あれこれ考えてZINEを作る作業は、自分だけの密かな癒しの時間に。どんな人たちと交流できるのか、とZINEスタジアム当日が楽しみになりました。

読み聞かせの時間も

会場では、子どもたちが楽しめる読み聞かせの時間もあります(岡山市学校司書有志11:15〜11:50、「プーさん文庫」11:50〜12:30の2回)。
1989年に発足したプーさん文庫は、定例のおはなし会のほか、幼稚園や小学校、高齢者施設などで読み聞かせを行っています。写真は、高見京子さん(左、高見さんは岡山市文学賞運営委員会文学によるまちづくり部会委員でもある)と秋山倫子さん。高見さんは「お話や体験を通して、子どもの心の豊かさが育つ地域づくり、環境づくりをしていきたいです」と話します。
そのほか、作家・乗代雄介さんのブックトーク、ZINEを作ってみるワークショップなど多彩な内容です。

ZINEスタジアムの次は、3/15の「おかやま文芸小学校」

ZINEスタジアムが終われば、3月8日(土)、「坪田譲治文学賞」贈呈式・記念行事(場所:西川アイプラザ)、3月15日(土)、16日(日)、「おかやま文芸小学校」(場所:旧内山下小学校、時間:11時〜16時)と続きます(旧内山下小学校でのイベントには上履きを持参してください)。

2日間にわたる「おかやま文芸小学校」では、全国から約70の出版社や書店、図書館、文学に関わる人たちが旧内山下小学校に集まります。
個性的な出版社の担当者や書店店主から、おすすめや本にまつわるエピソードを直接聞くことができる貴重なチャンス。毎年、大勢の人が楽しみにしています。
ブックトークのほか、ワークショップ、食で楽しむ文学、移動図書館・展示、読み聞かせもあるので、本を読む人も読まない人も1日楽しめる内容です。

岡山市公式観光情報 OKAYAMA KANKO.net