古着から、街の個性が垣間見える

古着から、街の個性が垣間見える
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歴史・文化 体験・学び 買い物

岡山市の路地裏にひっそりと佇む古着店には、様々な時代や国を旅してきた服たちが静かに息づいています。手に取るたび、素材やデザインの個性のなかに以前の持ち主の思い出が浮かび上がり、新しい服とは少し違う“価値”が感じらる。そんな、流行だけに左右されない、想いのこもったアイテムが集まる場所をご紹介します。

掲載日:2025年11月26日

ライター:杉原未来

岡山の古着の今

近年、国内外で古着の人気が高まり、岡山市でもその流れは大きく広がっています。サステナブルな視点から古着を選ぶのはもちろん、独自のスタイルを求める人たちが、地域の個性ある古着店に足を運ぶようになりました。また、後楽園や芸術祭を目的に訪れる観光客が増えたことで、旅の途中に「岡山の思い出」を探す需要も上昇しています。

特に海外からのインバウンド層には、日本の古着文化そのものが観光の目的の一つになる場合も。質の高いヴィンテージや、美しく細工が施された着物など、一点ものを求めて海外の観光客が商店街や路地裏の店を巡る姿が目立ちます。こうした背景のなかで、岡山の古着店は人や文化が交わる“小さな観光スポット”になっています。

ink(インク)

岡山市出石町の落ち着いた街並みに佇む古着店「ink」は、セレクトのセンスが光る小さな名店です。軒先には洋服だけでなく着物や道中着が並べられ、出石町の景色にもなじんでいます。古民家の落ち着いた雰囲気を活かした静かな店舗のなかで、じっくりと服に向き合える時間が流れています。扉を開けると、国内外から丁寧に集められたユーズドアイテムや地元の小物作家のアイテムが並び、各アイテムの“らしさ”が際立っています。

トレンドを追うのではなく、素材の質感やデザインの個性を大切にして選ばれたラインナップは、どれも長く愛用したくなるものばかり。また、店主の穏やかな接客も魅力で、相談すれば、自分のスタイルに寄り添った一着をそっと導いてくれます。日常のファッションに少しのスパイスや新しい感性を取り入れたい人にとって、「ink」は特別な出会いをくれる場所です。

Babylon(バビロン)

岡山市奉還町に店を構える「Babylon(バビロン)」は、レディースの古着を中心に取り扱う、独特の世界観が魅力の古着屋さんです。店内には、90’sストリート、Y2Kの雰囲気を意識した古着や、個性的なデザインのアイテムなど、ジャンルに縛られないセレクトが並びます。「普段の自分とは少し違うスタイルに挑戦してみたい」という人にぴったりの場所です。

男性向けの古着屋さんが多い岡山市の古着業界の中では珍しく、アイテムの9割がレディースファッションという「Babylon」。岡山駅から徒歩で訪れることができる好立地ため、県内外の女子高生や女子大学生から人気急上昇中です。アクセサリーから食器までが揃い、思わず手に取ってしまう一点もののアイテムばかり。ここに来れば生活の主役にしたいアイテムが見つかります。

不羈(ふき)

表町商店街の一角に店を構える古着屋「不羈(ふき)」は、縛られない自由な感性が息づくショップです。海外のヴィンテージアイテムから国内のレアピース、遊び心のあるデザイン古着まで、幅広いジャンルの一点ものが揃っています。スタイルの正解を追い求めるのではなく、「本当に自分が着たい服なのかどうか」を軸にしたセレクトを大切にしています。

商店街の立地をいかしたドアの無い店舗には、自然に服との距離が近づくような心地よさがあり、初めてでも気軽に立ち寄れる雰囲気です。店内に並ぶのは、年代もジャンルも異なる個性豊かなアイテムたち。ポケットの形や襟のデザインなど細かな部分に注目したアイテム選びを意識しているそうで、普段の装いに少し“ひねり”を加えたい人、自分らしい一着に出会いたい人にとって最適の場所です。

型にはまらず
個性を楽しむ

店内に並ぶのは、誰かの暮らしや時間を受け継いだ特別なアイテムばかり。トレンドを追うだけでは見つからない、自分だけの感性に向き合う瞬間こそが、古着店を訪れる魅力です。街歩きの途中にふらりと立ち寄れば、きっとあなたの毎日を軽やかにしてくれる運命の一着に出会えるはずです。

岡山市公式観光情報 OKAYAMA KANKO.net