日の出前から始まる京橋朝市
午前5時ごろ、京橋方向から撮影した様子。
旭川に沿って、色とりどりのテントが電球に映し出されたノスタルジックな風景です。
取材した京橋朝市五月市(5月7日)はあいにくの雨でしたが、それでも早朝から多くのお客さんが買い物を楽しんでいました。
雨の日の一番のメリットは、普段行列ができる人気店もあまり待たずに買い物ができるという点。お目当ての店があれば狙い目です。
五月市は1年の中でも規模の大きな市で、働く乗り物が集結するイベント開催もありました。
車で来場する場合は、周辺の有料パーキングを使用します。パーキングチケット駐車場は午前7時から(午前7時以前は駐車禁止)なのでご注意を。
会話弾む朝市ならではの光景
7時ごろになると、人の往来が増えてきました。
野菜や果物など農作物が並ぶ店、花を売る店、焼菓子店、エスニック料理店など、さまざまな店がズラリと並びます。
奥に見えるのが京橋。
かつて、この周辺は京や大阪の品を扱う店が多かったので京町と呼ばれ、橋も京橋と改名されました。以前はもう少し川上にあったそうですが、1593年に現在の位置に架け替えられたそうです。橋は何度か建て替えられ、現在の京橋は1917年のもの。
開店準備のため、美作市の自宅を3時半に出発するという小坂田さんは、コロナ禍の時を除いて30年以上出店しているそうです。畑で作った野菜のほか、手作りらっきょうや梅干し、味噌など、どれも素朴な家庭の味が並んでいました。
育てたこんにゃく芋を加工して作るというこんにゃくとクレソンを購入すると、菖蒲とヨモギの葉をサービスでいただきました。小坂田さんから、菖蒲湯の入れ方を教わるなど、会話が弾むひとときでした。
選ぶのが楽しい食べ物屋台
京橋朝市といえば、フードストリート。
朝ご飯を食べずに来たので、「八百粥」の中華粥(500円)をまずは購入しました。
大きな鍋で鶏とホタテと一緒に炊く粥で、トッピングは、揚げワンタン、レタス、ドライトマト、ザーサイ。シンプルな味付けの粥に、コチュジャンベースの辛味噌が良いアクセントです。八百屋の店主が趣味で始めたお店だそうで、今年で17年目。月1回の朝市でのみ食べられる味です。
豆腐ドーナツの店にも人が並んでいました。
卵・乳製品不使用の「豆腐ドーナツ」(1個100円)と「ウインナードーナツ」(8個入り・300円)は、甘くてフワフワとした生地がクセになる味で、お土産に持って帰ると、子どもが喜んで食べていました。
ここも大人気の焼鳥店。「いつもなら行列ができていて、なかなか買えないよ」と教えてもらい、竹串に刺さった大ぶりの焼鳥(1本200円)をゲットしました。時折、火柱を上げて豪快に焼き上がる様子も、食欲をそそります。
〆に食べたのは、岡山牛すじカレー(レギュラー500円/ミニ250円)。写真はレギュラー。
中辛のカレーに牛すじがたっぷり入っていて、コリコリとした食感が美味しい一品でした。
軽く朝食のつもりが、ついついしっかりと食べ過ぎてしまうほど魅力的な屋台がたくさん並んでいました。
子どもたちに楽しい体験を
「朝市で、子どもたちに安全で楽しいカヌー体験をしてもらいたい」という思いから、15年ほど前からスタートしたのが、旭川流域を活用した「カヌー教室」です。
この日は雨のため中止になりましたが、通常は6時半から受付を開始し、7時から9時まで(全4回)実施します。
参加費は1人1000円。5月と10月は「親子カヌー体験会」を実施。
約30分の教室は入門知識のほか、カヌーの漕ぎ方を教わることができて初心者にぴったり。
「朝市とカヌーのロケーションは日本一です。これだけ素晴らしいロケーションは稀です。アクセスの良い市街地に旭川があり、岡山城があり、自然にも恵まれた場所でカヌーを楽しんでほしいですね」と、インストラクターの本谷光円さんは話します。
旭川を眺める癒しのひととき
最後は、朝市マスターの友人から「旭川に向かって焼き物を頭に乗せる不思議な光景」と教えてもらっていた「備前百会灸」へ。
頭頂部にある百会(ひゃくえ)というツボをお灸で刺激することで、リラックス効果が期待できるそうです。
私もいざ、もぐさをセットしたオリジナル素焼きを頭の上に。じんわりと温まってきて、ついウトウトする気持ち良さです。
「よく眠れるようになるという感想もいただきます」と代表の石部春子さん。この素焼きは、石部さんが考案し、備前焼作家が作陶したものだそう。
百会灸普及のため、京橋朝市では毎回無料で実施しています。時間は15分ほど。
晴れていれば、素焼きを頭に乗せたまま、旭川をのんびりと眺めることができます。夜明け前に行けば、旭川越しに日の出を拝むこともできます。そのちょっと不思議な景色を見てみたいので、また朝市に来る楽しみができました。
次回の朝市は6月4日(六月市)です。